司法書士の法律判断権

司法書士は法律家です。
民法はじめ、たくさんの法律を学習し
はじめて司法書士試験に合格出来ます。



その法律家である司法書士に、
法律判断権(法的なアドバイスをする権限と思って下さい)
がないとしたら??



実はこれ。
あんまり知られていないかも知れないですが、
司法書士の法律判断権については法律上保障されていません。
(ただし、簡裁訴訟代理等関係業務だけは別です。)




司法書士の法律判断権に関する重要な法務省の見解、
判例を紹介しておきましょう。



昭和29年・法務省民事局回答(民事局第2554号) 
「訴状,答弁書準備書面又は告訴状,告発状等の作成は,
他人から嘱託された趣旨内容の書類を作成する場合であれば,
司法書士の業務範囲に含まれ,弁護士法72条の違反の問題を生ずることはない。
しかし,
いかなる趣旨内容の書類を作成すべきかを判断することは,
司法書士の固有の業務範囲には含まれないと解すべきであるから,
これを専門的法律知識に基づいて判断し,
その判断に基づいて右の書類を作成する場合であれば,
同条の違反の問題を生ずる。」




昭和54年・高松高判昭54年6月11日
「…訴訟関係書類の作成が弁護士業務の主要部分を占めているのに対し,
司法書士の業務は沿革的に見れば定型的書類の作成にあった…。」
「…制度として司法書士に対し弁護士のような専門的法律知識を期待しているのではなく,
国民一般として持つべき法律知識が要求されていると解され,
従って…司法書士が行う法律判断的作用は,
嘱託人の嘱託の趣旨内容を正確に法律的に表現し
司法(訴訟)の運営に支障を来たさないという限度で,
換言すれば法律常識的知識に基く整序的な事項に限って行われるべきもので,
それ以上専門的な鑑定に属すべき事項に及んだり,
代理その他の方法で他人間の法律関係に立ち入る如きは
司法書士の業務範囲を超えたものといわなければならない。」



まったく腑に落ちない、
納得できない話だと思いません?
司法書士法には、次のように規定されていますが、


司法書士法第3条(業務)
 司法書士は,この法律の定めるところにより,
他人の依頼を受けて,次に掲げる事務を行うことを業とする。
 五 前各号の事務について相談に応ずること。




しかし本項5号の相談業務の範囲というのは、
従来から解釈によって認められていたものを超えるものでありません。
本項5項にいう「相談」は,
依頼者の依頼の趣旨に沿って適切な書類を作成すること等のために
必要な範囲内の相談であって,
通常は,依頼者の依頼内容を法的に整序するための相談が
これに当たるものと考えらています。



おかしいでしょ?
法律関係作成権限が法律上認められていないのもおかしい。




これはもう。
今週の選挙で東京会会長2期目を務めることになるであろう
柏戸茂先生に頑張ってもらうしかない。
そんな事を、選挙公報を見て思っております。
柏戸会長は、相談権の確立・法律関係書類の作成権限の明文化を
 公約に掲げているのです。頼もしい。)




昨晩、四谷のホテルにて行われた
柏戸茂君を応援する会」に行ってきたのですが、
柏戸会長はこう言ってました。





東京会会長の役割は、会員の資格を守ること。





もちろん、国民の権利保全に寄与することも挙げていたのですが、
司法書士の資格が守られる事が大前提。
司法書士が繁栄するか、縮小するかは“ひと”にかかっていると思います。
ですから、
司法書士制度の事を真剣に考えて下さる方にこそ、
会長職は務めて頂きたいと思っています。



投票日は来週の金曜日と土曜日。
誰に入れるかは自由ですが、
東京会会員の先生方!!
ぜひ投票に行きましょう!
司法書士が繁栄するか、縮小するかは私たち自身、
“ひと”にかかっているのですから。