2 医療法人の理事の登記


2 医療法人の理事の登記






そうすると困るのが、
法改正以前に、任期の制限を設けていなかった法人です。





いきなり法律が変わって
2年の上限が設けられても、
すべての法人が2年の上限で登記をするわけがなく・・・





登記懈怠の状態が作出されます。
(医療の現場は忙しいんだ!!)





しかし!!




定款に
「役員は、任期満了後といえども、
 後任者の就任するまでは、その職務を行うものとする。」

との定めがあるケースにおいては、
これを任期伸長規定ととらえ、
後任の就任まで役員の任期は
継続していると考えられているようです
http://www.geocities.jp/katagirirei/houj01.html先例法人登記Q&A参照)。






さて。
そのことが明らかになった時点で、
私の担当した法人について考えてみました。




今回の法人においては、
もともと定款に任期2年の縛りを設けており、
その上で、10年以上登記を懈怠したケースですが、
当法人の定款には、上記の定款の定め(「役員は、任期満了後といえども・・・」)
があります。




そこで私は、今回のケースは、
結論としては、
権利義務役員として理事の地位が継続しているのではなく!
定款の任期伸長規定により理事の地位が継続しているだろう!
と考えました。



その理由としては、


①医療法には、会社法が346条に規定するような権利義務に関する規定がないこと、
②定款の定めにより任期が伸長しているととらえないと、法改正以降登記を懈怠している法人との処理の均衡が保てないこと
を考えました。



これをもって、
管轄法務局に問い合わせたところ、
私の考えた通り
理事の地位は権利義務ではなく
任期伸長により継続している、
ということで話がまとまりました!




そうすると、再選に伴い必要となる登記としては、
「退任」と「就任」ではなく!
「重任」ということになります。




念のため、事の発端となった東京都にも
そのような登記をする旨伝え、了解を得たところで登記を申請。





無事、「重任」の登記が上がってきました!













今回の事件を通じて思ったことは、
安易に会社法と同様に考えてはいけない!
ということと、
リーガルリサーチ力は大切だなぁ
ということです。






受験生の皆さんには、
実務で役立つ(というか必須)リーガルリサーチ力を
日々の学習の中で磨いて欲しいと思います。






以上!



坂本龍治