4 平成23年改正からみる法改正の構造〜「民法等の一部を改正する法律」の本則〜

年度末ばったばたです。
今年の年度末は、金融機関さんが頑張っています。
ある金融機関では、“異常なほど”仕事が
集まってきているようです。




当然登記にもしわ寄せがきています。
今日設定の抵当権。
「書類揃いました〜きてください!」
と連絡があったのが9時でした。




それも夜の。。。





でも、今日でそれも終わりでしょう。
お忙しい皆様。
がんばりましょう。



さて、本題です。








4 「民法等の一部を改正する法律」の本則




次に本則の中身を見てみましょう。



(民法の一部改正)
第一条民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。




第七百六十六条第一項中「その他」を「、父又は母と子との面会及びその他の交流、
子の監護に要する費用の分担その他の子の」に改め、同項後段を次のように改める。
この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
第七百六十六条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、
同条第二項中「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、
子の監護をすべき者」を「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、
前二項の規定による定め」に改め、「その他」の下に「子の」を加え、
同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。



2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、
家庭裁判所が、同項の事項を定める。





とまぁ。
いじわるでここまで挙げたのですが、
何のこっちゃさっぱり分からないですね。






この後に続く規定のうち、
主だった箇所だけ抜粋するので、
今度はしっかりと読んでみてください↓
赤=一部改正の規定
青=追加規定
紫=削除規定
となっております。





第七百九十七条第二項に後段として次のように加える。
養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。

・・・(略)・・・
第八百三十四条の次に次の一条を加える。
(親権停止の審判)
第八百三十四条の二 父又は母による親権の行使が困難又は不適当で
あることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、
成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、
その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに
要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を
考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

・・・(略)・・・
第八百四十二条を次のように改める。
第八百四十二条削除

・・・(略)・・・
第八百五十七条ただし書中「、未成年被後見人を懲戒場に入れ」を削り、
同条の次に次の一条を加える。
(未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第八百五十七条の二 未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
2 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、
財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
3 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、
各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、
その権限を行使すべきことを定めることができる。
家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
5 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。







追加規定に関しては、
一部改正法のみからその内容を読み取れますし、
削除規定についても、
対象となる法律の削除条文を確認すれば
内容がすぐにわかります。





ややこしいのが、
一部を改正する規定。






「A」を「B」に改める。
「A」の次に「B」を加える。
○○中「A」を削る。





となっている部分がそれなのですが、
溶込み方式ゆえ一部改正法の規定が
このようなややこしいことになっているわけです。






施行されれば、
一部改正法の規定する通りに対象となる法律が改められ、
一部改正法は対象となる法律に溶込み消えていきます。



たとえば、現在民法766条第1項前段は、
「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者
その他監護について必要な事項は、その協議で定める。」
とされていますが、民法等の一部を改正する法律に
第七百六十六条第一項中「その他」を
「、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の」に改め・・・

とありますから、
施行日である本年4月1日からは、
「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、
父又は母と子との面会及び
その他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の
監護について
必要な事項は、その協議で定める。」
と改められ、
民法」に溶込んだ「民法等の一部を改正する法律」の本則は消えていきます。





坂本龍治