人の作りだすもの








この松の裏、
見えている家の手前には、
半世紀の歴史をもつ平屋建ての家がありました。






私の田舎の、
母屋です。






昨年の地震で壊滅し、
取り壊しを余儀なくされました。






大好きだった土間の玄関に
色々な人が腰掛ける風景はもう見れません。






だけど、
この事を嘆くのではなく、
新しい憩いの場が出来る事を
心待ちにしています。






人の作り出す家、
人の作り出す空間が
好きなんです。













たとえば、
飛行機の窓から東京の街並みを一望した瞬間、
いつも無条件に感動してしまいます。







東京というところは
無機質なビルが並び、
人の欲が集まる場所






などと批判的に見る人もいるだろうけど、









人の作り出すものは美しい。














東北の海岸沿い、
まるで大きな戦争がここで起きたかのように
何もかもが消えてしまった場所。







その悲しみ。
嘆き。
苦しみが
きれいさっぱり消える事はないけれど、
それでも私は心待ちにしています。








〝一刻もはやく”








なんて事は、
私なんかが軽々しく言える事ではないけど、
いつの日にか、
新しい街並みが人の手によって作られ、
新しい笑い声の生まれる街を、








私は心待ちにしています。







人の作り出すものが好きなんです。







坂本龍治