30 民法改正・基本の「ほ」 〜錯誤 第95条ただし書 (3)ただし書の例外〜
30 錯誤 第95条ただし書 (3)ただし書の例外
現行の95条は以下のとおりです。
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
民法第95条ただし書は、
表意者に重過失があるときは
錯誤を主張することができない
としていますが、
①表意者の意思表示が
錯誤によるものであることを
相手方が知っている場合
又は知らなかったことについて
相手方に重過失がある場合
②当事者双方が同一の錯誤に陥っている場合
には、表意者に重過失があっても
例外的に錯誤を主張して法律行為の効力を否定すること
ができる旨の規定を設ける、
という方向でほぼ固まっています。
ちなみにですが、
せっかくなので、理解を深めておきましょう!
なぜ、上記①の場合、
重過失があっても例外的に無効主張を認めるのでしょう?
(①表意者の意思表示が錯誤によるものであることを相手方が知っている場合
又は知らなかったことについて相手方に重過失がある場合)
そもそも
民法第95条ただし書が
表意者に重過失がある場合に
錯誤主張を制限することとしたのは
このような場合にまで
相手方の犠牲のもとに表意者を
保護すべきではないからです。
しかし、
表意者の意思表示が錯誤によるものであることを
相手方が知っていたときは
相手方を保護する必要がなくなるので、
表意者は重過失があっても無効を
主張することができるとするわけです。(通説)
また、相手方に重過失がある場合には、
相手方が悪意であった場合と同視して考えます。
参考 「部会資料27」37貢〜
http://www.moj.go.jp/content/000077664.pdf
坂本龍治