26 民法改正・基本の「ほ」 〜通謀虚偽表示 第94条 (1)第三者保護規定〜


26 通謀虚偽表示 第94条 (1)第三者保護規定




現行94条第2項は、
「善意の第三者」を保護しますが、




三者が保護されるための主観要件としては、
現行94条の文字通り、
三者が「善意」であれば足りるとする案(甲案)と、
三者が「善意無過失」である必要があるとする案(乙案)とが
対立しています。





どちらの説も、
無効な法律行為を前提として
新たな利害関係を有するに至った第三者が保護されると
表意者が権利を失うことになることから、
このような効果を正当化するためには、
三者の信頼が保護に値すること、
すなわち第三者が善意であることを要する
と考える点共通しています。




しかし、
違いのでる無過失要件に関して
甲案は、
虚偽表示においては
表意者が故意に真意と異なる表示をしており、
表意者の帰責性が大きいことから、
三者が保護されるための要件としては善意で
足りるとします。




従来の判例・通説と整合する考えです。




なお、
お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、
前回記事にした心裡留保の第三者保護規定の話と
全く論理の流れが同じです!




三者保護規定は、
通謀虚偽表示のほか心裡留保、詐欺等
においても問題となりますが、
一貫した考え方に従って第三者が保護され
る要件を定める必要があると考えられています。
そうでないと、
ややこしくて仕方ないですもんね!
だから前回の記事と同じ論理の流れなわけです。




ちなみに、
現在では第三者保護規定は、
それぞれの場面に応じて個別に規定されていますが、
配置のあり方も議論されており、
無効原因・取消原因ごとに規定する方法や、
三者保護規定を無効原因・取消原因と区別することなく
規定する方法が検討されています。


参考 「部会資料27」28貢〜
http://www.moj.go.jp/content/000077664.pdf



坂本龍治