25 民法改正・基本の「ほ」 〜心裡留保 第93条 (3)第三者保護規定〜


25 心裡留保 第93条 (3)第三者保護規定




心裡留保の規定には、
「通謀虚偽表示」や
「詐欺・強迫」の規定に用意されている
三者保護規定がありません。




そこで、
心裡留保の規定にも、
三者保護規定を設ける方向で議論が進んでいます。





心裡留保の意思表示が無効である場合に、
常にそれを前提とする権利関係が無効になるとすることは、
(つまり、無効を第三者にも主張できるとすることは、)
適当でないと考えられるからです。




(なお、第三者保護規定のない現在は、
虚偽表示に関する94条第2項を類推適用することで
三者を保護する見解が有力です。)




三者が保護されるための要件としては、
三者が善意であれば足りるとする案(甲案)と、
三者が善意“無過失”である必要があるとする案(乙案)とが
対立しています。




どちらの説も、
無効な法律行為を前提として
新たな利害関係を有するに至った第三者が保護されると
表意者が権利を失うことになることから、
このような効果を正当化するためには、
三者の信頼が保護に値すること、
すなわち第三者が善意であることを要する
と考える点共通しています。




しかし、
違いのでる無過失要件に関して
甲案は、
心裡留保においては
表意者が故意に真意と異なる表示をしており、
表意者の帰責性が大きいことから、
三者が保護されるための要件としては善意で
足りるとします。




現在の判例・学説の流れからすると、
善意で足りるとする甲案が採用されそうです。




参考 「部会資料27」26貢〜
http://www.moj.go.jp/content/000077664.pdf




坂本龍治