24 民法改正・基本の「ほ」 〜心裡留保 第93条 (2)無効要件〜

24 心裡留保 第93条 (2)無効要件


前回の記事で、
ただし書きにある悪意等の対象(「表意者の真意」の部分)を
書き改める方向で話が進んでいる旨説明しましたが、
心裡留保の意思表示が無効となる要件については
さらに3つの考え方がぶつかり合い、
喧々諤々の議論がなされています。




まず、甲案は、
心裡留保を類型によって、
「非真意表示」と、
「狭義の心裡留保」とに分けて考えます。




非真意表示とは
相手方が表意者の真意に気づいてくれることを期待して真意と
異なる意思表示をした場合をいい、




狭義の心理留保とは
表意者が相手方を誤信させる意図を持って,
自己の真意を秘匿して真意と異なる意思表示をした場合をいいます。




たとえば、
非真意表示の例として、
上司の意に沿わない行動を取ったAが、
実際に退職する意思はなかったが、
真摯な反省を表明するため、
上司Bに対して
自発的に退職をする旨の意思表示をした
という事案や、




Aが大切にしているギターをBが欲しがるので、
Aが冗談で「100万円であれば売ってあげる。」
と言ったところBが承諾したという事案が挙げられます。




相手に真に受けられてしまっては、
Aさん可哀そうな事案ですね!
冗談だとわかれよ!B!!





たとえば
狭義の心理留保の例として、
近隣のテナントにライバル店Cが
出店を計画していることを知ったAが、
当該テナントの所有者Bに対し、
C間の契約を妨害するため、
実は入居するつもりがないのに、
Cより有利な条件で借りる旨の申込みをした事案
が挙げられます。




AさんはCさんを騙す気満々ですよね!
Aさん。あんた悪だな。




甲案は、
心裡留保を「非真意表示」と、
「狭義の心裡留保」とに分けた上、
「非真意表示」においては相手方が
悪意又は有過失のときに無効とするが
(つまり、現行の93条と同じ)、




「狭義の心裡留保」においては相手方が
悪意の場合に限って無効であるとすべき
(つまり、現行の93条より無効の範囲を狭める)
とします。
これが甲案。





乙案は、
狭義の心裡留保とそれ以外の心裡留保を区別せず、
基本的には現行93条を維持する考え方、




丙案は、
狭義の心裡留保とそれ以外の心裡留保を区別せず、
無効要件を現行93条よりも加重して、
「相手方が悪意であるか、又は“重大な”過失」
がある場合に心裡留保の意思表示を無効とする考え方です。




どの考え方に落ち着くかは今のところ不明。


参考 「部会資料27」22貢〜
http://www.moj.go.jp/content/000077664.pdf



坂本龍治