9 民法改正・基本の「ほ」 〜「国民一般に分かりやすいものとする」の意味〜
「国民一般に分かりやすいものとする」の意味
この度の改正の大きな目的は2つです。
1 「社会・経済の変化への対応を図」ること
2 「国民一般に分かりやすいものとする」こと
今回は「国民一般に分かりやすいものとする」
の意味についてです。
まずは
原優さん(法制審議会幹事・法務省民事局長)
の話をお読みください。
「裁判実務は,
民法制定以来110年余りの間に,
解釈・適用を通じて
膨大な数の判例法理を形成してまいりましたが,
その中には,
条文からは必ずしも容易に読み取ることの
できないものも少なくありません。
そこで,
民法を国民一般に分かりやすいものとする
という観点から,
現在の規定では必ずしも明確でないところを
判例法理等を踏まえて明確化する必要があります。」
(参照 法制審議会 第160回 議事録)
http://www.moj.go.jp/content/000005081.pdf
民法って、
学習するのが大変なんですよね〜〜
だって、
基本ルールのすべてが
条文に書いてあるわけじゃないんですもん。
民法を理解するためには、
判例法理や学説を読む他ありません。
それらがある程度あたまに入っていて、
検索能力を備えた私たちであれば、
今の民法のままでもあまり問題ありません。
しかし、法律は、
法律専門家のためにあるのではなく、
国民一般のためにあるのです。
それなのに、
一般の人が法的紛争に巻き込まれたときに
解決の指針になるはずの条文を読んでも、
それだけじゃぁ紛争解決に必要なルールが
足りておらず、結局自力ではどうしよもない、
という状況に陥ります。
そんな使い勝手の悪く、
分かりずらい法律じゃぁ、
国民生活に最も関わりの深い基本法としてどうよ??
ってことです。
そこで、今回の改正では、
「国民一般に分かりやすいものとする」
ことが主たる目的のひとつとして
掲げられているわけです。
坂本龍治