地道

人間はなあ、額に汗して、
油にまみれて働かにゃあ、いけないんだよ。


これはフーテンの寅さんが発した、私が好きなセリフです。
妹さくらの
「地道に働くってことは尊いことなのよ」
という言葉を受けて、寅さんがこころ改めて
真面目に働くというストーリーの中で出たセリフです。




司法書士の仕事というのは、
おそらく多くの受験生がイメージしているよりも“地道”なものです。
イメージしているよりも“地味”と言っても良いかも知れない。
でもそれは、司法書士の姿としては全く正しいのだと私は思います。




日司連は現在、司法書士法の改正に向けた働きかけをしています。
そのひとつに、使命規定の新設があります。
司法書士は、登記、供託及び訴訟等に関する法律事務の専門家として、
国民の権利の擁護と公正な社会の実現を図ることを使命とする。」




司法書士が果たさねばならぬ権利擁護は、主として登記により果たされます。
(もちろん他の形もありますが。)




真実に合致する、正しい登記を。




司法書士は、毎日まいにちその事を考えています。
後日紛争が起こらないように。
真の権利者が泣かないように。




予防法務とは地味なものです。




でも、それはとても大切な
使命。




たとえば、鉄道員が時刻や速度を守らなければ、
踏切事故などが多発するでしょう。





正しい速度で。
正しい時刻で。





その地味な努力が人の命を守っている。
その使命を果たすべく、全国で鉄道員が働いている。




司法書士の果たす使命は、鉄道員のそれとは違い、ふつうの市民には分かりづらいものです。




だから余計に、イメージとのギャップがあるのかも知れません。




だけど、
地道に働くってことは尊い




そして、私たち司法書士の果たす使命は、間違いなく人の為になっている。




その使命が自分のものとなった時、大きなやり甲斐を感じられるようになります。





明日は司法書士筆記試験の発表日。
ふたつの道のどちらにゆこうと、地道であることの尊さを
こころの隅に置けるなら、きっと心は平穏を保てるのだと思います。




明日という日が良き日になりますように。


坂本龍治