パンケーキと夜景と読書。



ビルズのリコッタパンケーキと、
スカイツリーからの東京の夜景。




要約すれば、
私のゴールデンウィークはそんなとこでした。




それから、久しぶりに小説をひとつ。
村上春樹を読みました。
書店に並ぶ最新作。




なんだか妙にリアルに感じられました。
田崎つくるという人間が体験したことが、
自分自身のそれと重なるような、
あるいは、田崎つくるという人間のそのものが
自分自身と重なるような、
そんな感覚が1ページ目をめくった時から、
最後の一行を読みをえるまで、私の中を流れていました。
もしかしたら、
誰しもが錆び付いて動かなくなった時計の針を
心にしまい込みながら生きているのかも知れない
(それは必ずしも悲しみのストーリーに繋がるものでは無いと思うけれど。)。
誰しもが加害者意識に悩んでいるのかも知れない。
そして誰にだって、
死ぬまで開けることは無いであろうと固く誓い閉ざした扉が、
本当に開かずに死ぬかどうかは、死んでしまうまで分からないということ。
幸運にも背中を押す手に巡り合えるかも知れないし、
思ったとおり、開くことはなく、誰も知らぬ間に消えていくかも知れない。
いろんな思いが頭をめぐり、そのすべてが拒否反応を示すこともなく
すっと身体に染みていく感じです。無色透明なこの身体に。



キースジャレットの弾くシェナンド―。



繰り返し聴いた曲の中に、
ひとは無意識のうちに感情や情景を吹き込むとして、
私にとっての大切な一曲がキースジャレットの弾く「Shenandoah」という曲です。
もっともこれは、
恋の相手を思い出すとかそういうのではなく、
すべてにおける感覚が一番研ぎ澄まされていた受験時代に
良く聴いていた曲で、調子の良い状態を思い出せる一曲です。



最近では最新の音楽も追えないし、
あまり音楽に聴き入る時間もありませんが、
これからの情景を吹き込める一曲を
ひとつずつ増やして行こうと思っています。
年老いた自分がそれらを集めて聴いたとき、
色彩豊かな情景が目の前に広がるように。




坂本龍治