32 民法改正・基本の「ほ」 〜錯誤 第95条ただし書 (5)第三者保護規定〜

32 錯誤 第95条ただし書 (5)第三者保護規定




錯誤の規定には、
「通謀虚偽表示」や
「詐欺・強迫」の規定に用意されている
三者保護規定がありません。




そこで、
錯誤の規定にも、
三者保護規定を設ける方向でほぼ固まっています。




錯誤の意思表示が無効である場合に、
常にそれを前提とする権利関係が無効になるとすることは、
(つまり、無効を第三者にも主張できるとすることは、)
適当でないと考えられるからです。




三者が保護されるための要件としては、
三者が善意“無過失”である必要があるとする案(甲案)と
三者が善意であれば足りるとする案(乙案)とが
対立しています。




無効な法律行為を前提として
新たな利害関係を有するに至った第三者が保護されると
表意者が権利を失うことになることから、
このような効果を正当化するためには、
三者の信頼が保護に値すること、
すなわち第三者が善意無過失であることを要する
と考えるのが甲案です。




これに対し、
錯誤のリスクは本来
表意者が負担すべきものであり、
三者が保護されるためには
善意であれば足りる
とするのが乙案です。




どちらの案が採用されるかは、
今のところ不明です。




参考 「部会資料27」42貢〜
http://www.moj.go.jp/content/000077664.pdf




坂本龍治