7 逆算3度目〜5度目の模試





本試験から逆算して、
逆算3度目の模試、
逆算4度目の模試、
逆算5度目の模試では、
それぞれの模試に合わせて
合格レベルまで引き上げる科目を決め、
その科目を重点的に学習し模試を迎えます。




たとえば、
模試をトータルで5回受ける人であれば、
逆算5度目の模試が初めての模試となるわけですが、




この回では
民法不動産登記法民事訴訟法・保全法・執行法を




次の回では
商法・商業登記法・供託法・司法書士法




次の回では
4科目(民・不登・商・商登)・憲法・刑法を




合格レベルまで引き上げることを目指し
学習を進める、といった具合です。




ただし、
記述式に関しては
年明け以降毎日学習されていることと思われますので、
記述式だけは特別に毎回合格レベルを目指して学習します。








11科目の合格レベルへの引き上げ方ですが、
11科目すべてを同列に扱い並行学習するよりも、
ひと科目ずつ合格レベルに引き上げていく方が
圧倒的に容易です。




なぜなら、
11科目を同列に扱い並行学習すれば、
その分、一日のうちに各科目に割り当てられる学習時間が少なくなり、
各科目が一回りするのに長期間かかってしまうからです。




そうすると、忘却しながら、忘却しながら先に進んでいくことになります。
そうすると、知識が分野の垣根を越えて繋がることが難しくなるのです。




これに対して、
ある程度ひと科目に集中的に取り組めば、
短期間でひと回りすることが出来ます。




そうすると、忘却しきる前に次へ次へといけるので、
知識を分野の垣根を越えて繋げることが可能となります。




たとえば、
民事訴訟法の最後に学習する手形・小切手訴訟手続と、
民事訴訟法の最初に学習する管轄の知識(法5条2号)とが、
分野の垣根を越えて繋がっていく、
といった具合です。




これが繋がってこないと、
同じことに関する記述であるにも関わらず、
頭の中では2つの知識として存在してしまいます。




つまり、
頭の中に単純知識として記憶し放り込まれているだけで、
これらの関係が整理されていない状態です。




これでは思考経済に適いませんし、
こういう状態が混乱を招く元凶となります。




あるいは、
手形・小切手訴訟においては、
証拠調べが書証に限られるという知識(352条1項)と、
民事訴訟法の中盤で学習する
証拠方法の無制限(自由心証主義の内容のひとつ)とが、
分野の垣根を越えて繋がっていく、
というのもひとつの例です。




手形・小切手訴訟を学習している際に、
「あれ??
これって何と関係するんだっけ?。。。
証拠調べの対象が限定されている。。。
つまり証拠方法が限定されている。。。
そうだ!!証拠方法の無制限だ!」




と気づき、
ページをさかのぼり自由心証主義のあたりをチラッと読む。
これにより、
両者の繋がりが分かったのであれば、
それは相当理解としては深まっていますし、
記憶にも定着していきます。
こうした“気づき”が得られることが重要です。
(もっとも、“気づき”からのひと手間、
つまりページを遡るという手間を惜しんでは意味がない。)




こうした気づきの下、
断片的に記憶されていたに過ぎない知識を繋げていくことによって、
考える力が養われ、合格のレベルへの到達を可能にします。



ですから、3度模試を受けるチャンスがあるのであれば、
欲張らずに、その回に合格レベルまで引き上げる科目をいくつか決めて
それ以外の科目については余力のある限りで知識と感覚の維持程度に触れていく、
といった感じに学習を進めていきます。




坂本龍治