4 条文から見る23年改正のポイント 未成年後見人が複数ある場合の権限の行使等
4 未成年後見人が複数ある場合の権限の行使等
未成年後見人が複数ある場合が予定されたことに伴い、
未成年後見人が複数ある場合の権限の行使等に関して、
次の規定が新設されました。
(未成年後見人が複数ある場合の権限の行使等)
第857条の2 未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
2 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部について、
財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
3 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、
各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、
その権限を行使すべきことを定めることができる。
4 家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
5 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、
その一人に対してすれば足りる。
ポイントはまず、
未成年後見人が有する身上監護権(857条)と、
財産管理権(859条)とは、
共同して行使することが原則とされていることです(857条の2第1項)。
しかし、
財産管理権に関してのみ例外があります。
(つまり、身上監護権には例外なし。必ず共同行使。)
財産管理権に関しては、
家庭裁判所が職権で(つまり、当事者の申立ては認められていない。)
単独行使の定め又は事務分掌の定めをすることができるのです(同条3項)。
これがポイントの2つ目。
たとえば、
財産管理権を有する未成年後見人がA、B、Cと3名いる場合に、
ABCそれぞれが単独で財産管理権を行使することが出来るとしたり(単独行使の定め)、
Aは○○の財産管理を、Bは○○の財産管理をする、としたり(事務分掌の定め)、
することが出来るのです。
なお、
「身上監護権には例外なし。必ず共同行使。」と上記しましたが、
これは、
身上監護権を有する者がA、B、Cと3名いる場合であれば、
必ず当該3名で身上監護権を行使することを意味しています。
同条2項で、未成年後見人が有する身上監護権と財産管理権のうち、
身上監護権を奪うことを許容する規定がありますが、
たとえばCから身上監護権を奪った場合、
身上監護権を有するAとBとで必ず共同行使することになりますから、
2項は共同行使の例外には当たらないので混乱なさらないようにしてください。
共同行使の原則、というのは、あくまでも権利があることを前提としているのです。
ひとまず全4回に渡り記事にした点を
押さえて頂ければ宜しいかと思います。
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◆参考
民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号)の概要by法務省
http://www.moj.go.jp/content/000082603.pdf
坂本龍治