12 民法改正・基本の「ほ」 〜わかり易さって、何だろう〜

わかり易さって、何だろう










原優さん(法制審議会幹事・法務省民事局長)は、





「裁判実務は,
民法制定以来110年余りの間に,




解釈・適用を通じて
膨大な数の判例法理を形成してまいりましたが,




その中には,
条文からは必ずしも容易に読み取ることの
できないものも少なくありません。




そこで,




民法を国民一般に
分かりやすいものとする




という観点から,
現在の規定では
必ずしも明確でないところを




判例法理等を踏まえて
明確化する必要があります。」




といっています。





そうすると、




解釈・適用を通じて形成された
判例法理等を、
条文に盛り込むこと
こそ
「国民一般に分かりやすいもの」
とするためのキモであると読めます。






この点、
内田貴先生は、
著書の中でこう述べています。







「わかりやすいということは、
二つの意味を含んでいます。





第一に、文章が理解しやすい、ということ。





…もう一つの意味…が、
実際に拘束力を持っている民法
のルールがきちんと法典の中に書かれている、
ということ。」




(「民法改正‐契約のルールが百年ぶりに変わる‐」114貢
  内田貴著 ちくま新書 2011年10月10日第一刷発行)





今回の改正において、




「解釈・適用を通じて形成された判例法理等を、
条文に盛り込むこと」により、




「国民一般に分かりやすいもの」とする
という点については、
共通認識として確立しています。





では、
「文章が理解しやすい」という意味での
 分かり易さの追求は???



今回は追及しないのでしょうか。




つづく坂本龍治