記述式の解法プロセス Vol.3

昨日の続き。




 例えば、
 甲土地を有するAが死亡し、
 その相続人がBCDであることが
 戸籍から読みとれても、
 それだけでは申請すべき登記は確定しません。




 その後、
 Bが相続放棄をした、
 CがDに相続分を譲渡した、
 Dへの相続登記が完了する前にDが死亡した…




 といった事実があるのならば、
 それらすべての事実を一本の時系列線に
 落とし込んでストーリー展開を追って
 いかなければ、最終的な結論は導けません。





 これに対して、商業登記の場合には、
 必ずしも、一本の時系列線に落とし込んで
 ストーリー展開を追っていく必要はないのです。




 例えば、



 募集株式の発行、



 代表取締役の選任、



 商号の変更、



 といった事実が挙げられている場合、
 これらは一本の時系列線に落とし込まずとも、
 結論を導くことができます。



 むしろ、これらすべてを一本の時系列線に
 落とし込むと、逆にゴチャゴチャしてきて
 混乱が生じてきてしまいます。




 ですから、商業登記の場合、
 同じカテゴリーに属するものに分けて
 時系列線を引くようにします。




 募集株式の発行であれば、
募集株式の発行に関係することだけを
 落とし込む時系列線を引きます。




 役員に変更があるのであれば、
 役員に関係することだけを
 落とし込む時系列線を引きます。




 役員の場合には、役員一人ひとりに
 時系列線を引くのが良いでしょう。 




 また、商業登記では、
 手続判断をする際、
 不動産登記以上に実体判断の思考プロセスを
 辿る必要がありますから、
すべての事実に関して
まず実体判断をして、
 それからまとめて手続判断をしようと思っても、
 結局もう一度実体からの思考を繰り返さなくては
 ならず、2度手間になってしまいます。




 ですから、商業登記の場合、
 ひとつひとつの事実ごとに実体判断→手続判断を
 繰り返すというやり方を取っています。 




 イメージ的には、
 商業登記の場合、“ひとつひとつの箱の中で、
 実体→手続きを繰り返す”といった感じです。 





明日からは形式面に話を移します。