有限責任事業組合(LLP)とは?

今月の登記情報にLLPの記事が載っていました。
改めてLLPの基礎について確認してみました。



LLPは営利を目的とした
共同事業を行うための組織形態です。
発祥はイギリスで、
日本では経済産業省推進のもと2005年に
有限責任事業組合契約に関する法律」が
成立し、導入されるに至りました。
民法上の組合の特例です。



LLPのPは「Partnership」、「組合」という意味です。
(ちなみに、合同会社のことをLLCと言ったりしますが、
 LLCのCは「Company」、つまり「会社」のことです。
 「P」と「C」の意味さえ覚えておけば、混乱せずに済みますね♪)



良く言われるLLPの3大特徴として
・構成員は有限責任のみを負う
・内部自治が徹底されている
パススルー課税
があります。



構成員は有限責任のみを負います。
この点は、株式会社や合同会社と同じですね。




内部自治が徹底されています。
構成員の“話し合いによって”
権限をどのように分配するか?
損益をどのように分配するか?
といった事を決められます。
いくら出資したのか?
ということとは無関係に
貢献度や能力を勘案して決められる、
という事がポイントです。



そしてパススルー課税
これがLLPを利用する最大のうまみ。
LLPには法人格が付与されませんが、その分
法人課税ではなく、構成員課税となるんです。



なんで構成員課税だとうまみがあるの?
というと、
会社の場合、法人の利益に対して法人税が課され、
なおかつ、法人から配当を受け取った出資者にも
所得税が課せられます。
つまり、二重に課税されてしまうんです。
これが、
法人格の無いLLPの場合、法人税は課せられないので、
個人の所得税の支払のみで足りることになるんです。



じゃぁ、共通点の多い
LLC(合同会社)を選ぶなら
LLPの方が断然良い?
というと一概にはそうとは言えません。


LLPは組合“契約”なので、
2人以上居ないと立ち上げられません。
これに対して、LLCの場合、
ひとりでも会社として立ち上げることが可能です。



また、
事業が軌道にのって儲かってきたときに、
「よ〜し!そろそろ株式上場を目指すかぁ〜!」
といっても、
LLPから株式会社への組織変更を認める規定は、
残念ながら法律上ありません。
これに対して、LLCの場合は、
会社法に組織変更を認める規定がありましたから
スムーズに株式会社へ移行することが可能です。



坂本龍治